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第十章 花火と不吉な告白と
玄馬と幸樹が出会ってから、約一か月が過ぎていた。
梅雨はすっかり明け、真夏の到来だ。
入道雲が茜色に染まるころ、幸樹は海沿いの埋め立て地に来ていた。
大勢の、人、人、人。
屋台が並び、何かを焼く良い香りが漂ってくる。
色とりどりの金魚が、泳ぐ。
幸樹は、サマーフェスティバルに来ているのだ。
「玄馬さん、まだかな」
あんまり嬉しくて、早めに来てしまった僕が悪いんだけど。
時計を見たとき、ふと声がかけられた。
「君、一人? 誰か、待ってるの?」
顔を上げてみると、軽そうなお兄さんたちだ。
派手なアロハシャツを着て、手には綿菓子を持っている。
そんな複数人のうちの一人が、幸樹に声をかけたのだ。
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