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第十章・4
「幸樹、ナンパ除けだ。好きなものを選べ」
「え!?」
屋台は、女の子であふれている。
ジュエリーの屋台に、玄馬は幸樹を押し込んだ。
「今どきの屋台は、イミテーションのリングも凝ってるな」
「そうですね」
幸樹はその中から、シンプルな指輪を選んだ。
細身のシルバーで、滑らかな流線形にひねりが入っている。
「石は付いてなくてもいいのか? スワロフスキーも、あるぞ」
それは高いから、とは言わない幸樹だ。
遠慮するな、と叱られるに決まっているから。
「僕、シンプルなものが好きなんです」
では、と玄馬はリングを買い、二人で屋台を離れた。
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