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第十章・11
珍しく歯切れの悪い玄馬に、幸樹は不安な心地になった。
翔の方は、ある種の確信を持った。
(彼は、九丈さんの恋人だ)
「良いお返事を、お待ちしています」
その場はさっぱりと引き上げ、翔は去って行った。
「玄馬さん。例の件、って。今の方は、どなたですか?」
「ん? うん」
どのみち、いつかは話さねばならないことだ。
玄馬は、腹をくくった。
「彼は、泉田組の息子さんだ。そして」
実は私は、彼に求婚されている。
玄馬の告白に、幸樹は殴られたようなショックを受けた。
玄馬さん、結婚しちゃうの?
僕以外の人と。
その後のことは、よく覚えていない。
どうやって花火大会会場から出たかも解らないくらい、幸樹は動揺していた。
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