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第十一章 誓い
『実は私は、彼に求婚されている』
自室に着いて着替えても、その言葉は幸樹の頭にこびりついて離れなかった。
「僕とはもう、終わりなのかな」
そんなことを考えると、涙があふれてくる。
花火も、全てモノクロに描き換えられてしまった。
「玄馬さん……」
指にはめてもらった、シルバーのリング。
あの時は、彼の隣にいるのは僕だけだったのに。
クッションを抱いてベッドに転がっていると、携帯が鳴った。
「玄馬さんだ」
まさか、この電話で別れ話とか、無いよね。
祈る気持ちで、通話に出た。
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