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第十一章・2

「もしもし」 『幸樹、今夜は楽しかったよ』 「僕もです」 『……どうかしたか?』  少し鼻声だ、と玄馬は言う。  こんな些細な変化も、すぐに拾い上げてくれる男の優しさを、幸樹は改めて感じた。 「エアコン、少し効きすぎてるのかもしれません」 『そうか。風邪をひくなよ』 「はい」 『ところで、花火大会で会った少年のことだが』  幸樹は、緊張した。  ああ、どうか。  どうか、別れよう、なんて言わないで!

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