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第十一章・3
『彼は、泉田組の次男坊なんだ。いろいろあって、事務所の行く末を案じてる』
「そうなんですか」
玄馬は、翔に話された事情を、隠さず幸樹に伝えた。
組長が、病に伏していること。
跡取りの長男は遊び人で、頼りがいがないこと。
それらを心配して、次男の翔が動き始めていること。
『翔くんは、自分が私の籍に入れば、組の後ろ盾ができて安泰になる、と思っているんだ』
「そうだったんですね」
『もちろんこれらは、人に話さないで欲しい。たとえ、遠山さんにも、だ』
「解りました」
ところで、これからが本題だが。
玄馬の言葉に、幸樹は汗で湿ったスマホを持ち直した。
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