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第十一章・6
「誰だ、あんたは。ん? 私の連れに、何してる!?」
襟を離されると、男は泡を食って逃げて行った。
「玄馬さん」
「大丈夫か、幸樹」
こんな玄馬さん、初めて見た。
少し怖い、ヤクザの玄馬さん。
でも……。
(僕を、守ってくれた)
素をさらして、ナンパ相手に食って掛かった玄馬の新たな部分を、幸樹は新鮮に感じていた。
好意的に、思った。
「呼び出して、嫌な思いをさせてすまなかったな」
「いえ。大丈夫です」
二人はカフェを出て、そのまま玄馬の車に乗った。
行った先は、高級ブティックの入った老舗百貨店だ。
そこで玄馬は、幸樹をジュエリーの店に伴った。
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