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第十二章 翔の愛
玄馬に贈られた高価なリングを小箱に収め、幸樹は大切にデスクの引き出しにしまった。
指には、シルバーを着けている。
「嬉しいけど、やっぱり失くしたりすると大変だしね」
デートの時だけ、特別な指輪をしよう。
そんな風に、思っていた。
『幸樹、ナンパ除けだ。好きなものを選べ』
『誰だ、あんたは。ん? 私の連れに、何してる!?』
『私は、この揃いのリングを幸樹だと思って、大切にするよ』
指輪をめぐって、いろんな玄馬の顔が見えた。
いつも鷹揚に構えていた大人の男は、表情豊かに幸樹の前で振舞うようになっていた。
「玄馬さん。このリングがある限り、僕はあなたの恋人です」
そっと、シルバーに口づけた。
幸せな眠りに、就いた。
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