104 / 195
第十二章・2
そのころ事務所社長室の玄馬は、電話で連絡を受けていた。
『社長、若い男から電話が入ってます』
「誰だ。名は?」
『それが、ショウです、としか』
「いい。繋げ」
玄馬は、すぐにピンときた。
翔だ。
泉田の次男坊。
「早く返事を、と言うことかな」
厄介なことだ、と玄馬は外線保留を取った。
『こんばんは、九丈さん。泉田です』
「こんな遅くに。泉田の親父さんに、何かありましたか?」
『いいえ。私の用向きです』
「ご用件は?」
玄馬は無意識のうちに、薬指に付けたリングを撫でていた。
ともだちにシェアしよう!