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第十二章・4

「明日、九丈さんと食事をするよ」 「私もご一緒しますか?」  いや、と翔は首を横に振った。 「黒岩は、来なくていい。いや、来ないで欲しい」  翔の言葉に、黒岩は察した。 (翔さんは、その身すら九丈さんに差し出すつもりだ)  おのずと、黒岩はこぶしを固く握っていた。 「すまない。でも、こうするしかないんだ」 「翔さん。いや、翔」  翔は、ふぅっと黒岩の胸に顔を埋めた。 「……キス、してくれ」 「ご命令とあらば」 「そんな言い方、やめてくれ」 「翔……、いいのか。本当に九丈の家に入っても」  二人、夜景の美しいホテルの一室で唇を合わせた。  貪るように舌を絡め、愛し合った。 「明日はこの部屋で、九丈さんと」 「言わないでくれ、翔」  互いに、慌ただしく服を解いていった。  もつれる指で、ボタンを外した。

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