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第十二章・5

 素裸になった翔の肌は滑らかで、彫り物は施されていない。  Ωに生まれた彼を思って、父・泉田 敬之はそれを免じた。  Ωだから、痛みに弱かろう。  Ωだから、いずれは他所へ嫁ぐだろう、と。 「Ωに生まれなければ、黒岩のことをこんなにも愛さずに済んだのに!」 「翔の第二性が何であろうと、私はあなたを愛しただろう」  白い肌を撫でさすると、すぐに先漏れの体液が浮いてきた。 「はぁッ! あ、あぁ。はぁ、あ」 「美しい。こんなにも美しいあなたを、私はいつも穢している」 「そ、んな。穢す、だなんて」  黒岩に愛されたからこそ、私は美しく変わったのだと、翔は思う。  明日こそが、穢れの日なのだ。  愛する人がいながら、損得のために他の誰かにこの身を投げ出すのだ。

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