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第十三章・2
「他のお客様もいるんだから、九丈さんと話し込んじゃダメだよ」
「ごめんなさい」
そんな幸樹の指には、見慣れないリングが光っている。
(しかも、薬指になんて!)
遠山は、コーヒーを味わう玄馬を見た。
出会って間もない頃には、ただの忌々しい奴だったが、今の遠山には解る。
彼の性根は実に筋の通った、気持ちのいい男なんだ。
(ヤクザなんかじゃなかったら、幸樹くんを任せてもいいのになぁ)
堅気の幸樹くんと、ヤクザの九丈さん。
どう考えても、歓迎できない組み合わせだ。
(近いうちに、幸樹くんに九丈さんとの結婚だけは認めない、と釘を刺しておかなきゃな)
そう思いながら、遠山はコーヒーを淹れていた。
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