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第十三章・8
「黒岩、は。黒岩、は……」
「好きなんだね。黒岩さんのことが」
「う、うぅ。ううぅ……」
無理はしないで、と玄馬は翔の体を優しく支えて起こした。
「泉田組を思うのなら、私ではなく黒岩さんと一緒になるのも一つの手だ」
「え……?」
「翔くんと黒岩さんが、結婚すればいい」
翔にジャケットをかけてやり、玄馬は続けた。
「二人が一緒になれば、九丈組は応援するよ」
「九丈さん」
「遊んでばかりいる長男より、組のためにしっかり働いてる黒岩さんの方が、頼りがいがある。違うかい?」
泉田組の組員たちも、黒岩さんに喜んでついていくだろう。
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