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第十三章・10
そこへ、ドアがノックされた。
「誰だろう」
翔が出てみると、そこには黒岩の姿があった。
「翔、やはりだめだ。私は、君失くしては生きられない」
九丈さん、と黒岩は地に伏せ額を床に擦り付けた。
「九丈さん、翔さんとの婚姻は、考え直してください。私は、この方を!」
「よしてください、黒岩さん! 話は、もう終わったんですよ!」
翔くんは、あなたと結婚したいそうですよ。
そう玄馬が言うと、黒岩は目を見開いた。
「翔、それは本当か?」
「黒岩が、うんと言ってくれれば」
「いや、しかし。身分が違う」
ごねる黒岩に、玄馬は焦れた。
「翔くん。屁理屈をこねる口は、ふさいでやるといい」
玄馬が言い終わらないうちに、翔は黒岩にキスしていた。
二人で抱き合い、愛し合う者同士の熱い口づけが交わされる。
「では、邪魔者はこれで」
玄馬は、そっと部屋を後にした。
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