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第十四章・7

 台風がさらに勢力を強めながら、こちらに接近している、と遠山は言う。 『進路も少し変わってね。このまま直撃なんだよ』 「いつの間に……」 『もう、外を歩くのは危険だから。友達に、訊いてみて』 「はい」  幸樹は通信を繋げたまま、玄馬に向き直った。 「玄馬さん、遠山さんです」 「マスターは、何て?」 「よかったら、ここに泊めてもらいなさい、って」  それはいい、と玄馬は幸樹からスマホを受け取った。

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