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第十五章・3
さて。
「ここが、寝室だ」
「大きなベッド……」
「私は、寝相が悪いのさ」
玄馬はそう言ったが、幸樹は別のことを考えた。
(このベッドに、今までいろんな恋人さんたちが寝てきたんだろうな)
「私と二人で、一緒のベッドに寝てくれるか?」
「あ、はい」
「それにしても。ここに自分以外の人が横になるとはな」
え?
それって。
「玄馬さん、今まで付き合った人とか、いないんですか?」
「いたよ。だが、マンションに泊めるのは、幸樹が初めてだ」
自分の生活臭を、他人に嗅がれることが嫌だった、と玄馬は言う。
「でもね。幸樹には、逆に私の全てを見て欲しい。知ってほしいと思えるんだ」
玄馬は、幸樹を静かに抱いて口づけた。
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