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第十五章・9

「もう一度、シャワーを浴びてきてもいいんだぞ?」 「いいえ。このまま、休みたいです」  久々の交わりは、玄馬だけでなく幸樹も酔わせていた。 (玄馬さん、すごく素敵だった)  その余韻を、シャワーで流してしまうのは惜しかった。 「じゃあ、このまま眠ろうか」 「はい」  静かだ。  おそらく外では、嵐が荒れ狂っているというのに、ここは静かで温かい。  二人、向き合って視線を合わせた。  どちらからともなく、キスをした。 「いかん。またヤりたくなってくる」 「これは、お休みのキス、ですよ」 「そうか。そうだな」 「おやすみなさい、玄馬さん」 「おやすみ、幸樹」  手を取り、指を絡めて瞼を閉じた。  

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