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第十五章・10
ほどなくして、玄馬は瞼を開けた。
「幸樹、寝たか?」
「玄馬さん、まだ起きてたんですか?」
なんだ、と玄馬は幸樹の頬にキスをした。
「早く寝ないと、ダメじゃないか」
「玄馬さんこそ」
「そうだな」
だが、妙に目が冴えて眠れない。
「寝付けないんだ。多分、幸樹がいるからだな」
「僕のせい、ですか?」
「嬉しくって嬉しくって、興奮してるんだ」
「……僕もです」
仕方がないので、二人で羊を数えた。
交代で、笑顔で唱えて眠りを待った。
「羊が一匹」
「羊が二匹」
「羊が三匹」
「羊が四匹」
いつしか眠りに就いてしまうまで、甘い遊びは続いた。
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