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第十六章・7
幸樹は、午後もよく働いた。
広くて、きれいで、豪華な玄馬のマンションだったが、よく見ると埃の積もった場所がある。
そんなところを見つけ出し、拭いた。
ランドリーで出来上がった洗濯物をたたみ、必要なものにはアイロンをかけた。
玄馬の革靴をラックから取り出し、全てピカピカに磨いた。
そして。
「玄馬さん、3時のおやつですよ」
コーヒーとともに、手作りのスウィーツを出してくる。
玄馬は、すっかり舌を巻いていた。
「何て有能なお客さんだ。まいったな」
「だから。お客さんじゃありません、ってば」
じゃあ、何だ?
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