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第十七章・4
母が幸樹に伝えた、父親の唯一の手掛かり。
『お父さんは、人の上に立つお仕事をする、立派な方よ』
お父さん。
どんな人なんだろう。
「幸樹くん、どう思う?」
遠山の声に、幸樹は我に返った。
「会ってみるといい。でなければ、後悔することになるぞ」
玄馬の言葉に、励まされた。
「僕、会ってみます。お父さんに」
遠山は、ほっとした顔つきになった。
「じゃあ、弁護士の堀口さんに、そう伝えるよ」
そして、電話を掛けにカウンター奥へ入って行った。
「玄馬さん。僕、少し怖いです」
「幸樹のお母さんが愛した人だ。きっと、素晴らしい方だよ」
幸樹は、自然に玄馬の手を握っていた。
その小さな手を、玄馬も力強く握ってあげた。
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