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第十七章・6
10分と経たぬ間に、堀口はカフェに現れた。
「こんにちは。堀口と言います」
遠山にそうしたように、彼は幸樹に名刺を渡し、玄馬にも同じように自己紹介をした。
そして、遠山がコーヒーを淹れる間に、簡潔に伝えて来た。
「まず、幸樹さんのご質問に答える形で、お父様のことを明らかにしましょう」
「え、えっと。何でもいいんですか?」
「どうぞ」
では、と幸樹は父について最も知りたい情報を願った。
「お父さん。父は、あとどれくらい生きられるのでしょうか?」
「医師の診断では、一か月と聞いております」
たった、一か月。
悲痛な幸樹の顔に、玄馬は心を痛めた。
(可哀想に。ようやく会える父が、余命一か月とは)
ショックで下を向いてしまった幸樹に、玄馬は声をかけた。
「幸樹。堀口さんの言う通りなら、本当にもう時間がないんだ。他に、知りたいことはないのか?」
「は、はい」
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