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第十九章・2
「お父さん。玄馬さんのように、お母さんを愛し続けた人が、僕の今の保護者です」
「何?」
「遠山さんという、カフェのマスターです。今まで、僕を見守ってくれた人です」
「その名は、弁護士の堀口さんにも聞いた」
遠山さんに、会ってもらえませんか、と幸樹は言った。
「お父さんに結婚を許してもらったとしても、遠山さんがうんと言わなければ、できません」
そうだった、と玄馬は頭をかいた。
「泉田さんより手強い人を、忘れるところだった」
解った、と敬之はうなずいた。
明日にでも、そのカフェへ出向こう。
そう、約束をしてくれた。
「同じ人を愛した男として、挨拶をしなくてはな」
「ありがとう。お父さん」
「結婚の話は、それからでいいですか? 九丈さん」
玄馬も、うなずいていた。
「良い返事を、期待します」
やれやれ、と敬之は肩をすくめた。
「翔の次は、幸樹か。みんな、早々と結婚話を持ち掛けてくる」
その言葉に、幸樹は翔を見た。
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