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第二十章 もっともっと良い日を
遠山は、いつもの遠山だった。
着飾るでもなく、気負うでもなく。
いつもの服装で、いつもの笑顔で、いつものコーヒーを淹れていた。
いつもの、カフェのマスターだった。
「はい、幸樹くん。キリマンジャロ二つ」
幸樹も今日は、カフェのウェイターとしての顔を父・敬之に見せていた。
「お待たせしました」
遠山が淹れたコーヒーを、父に出す。
まさか、こんな日が来ようとは。
(お父さんが、二人いるみたい)
微笑ましいが、緊張もしていた。
もう一人、キリマンジャロを出した相手。
玄馬も、この場に同席していた。
父の、強い願いからだった。
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