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第ニ十章・6
「マスター。いえ、遠山さん。幸樹くんと私との結婚を、お許しください。お願いします!」
「僕からも、お願いします!」
幸樹くんまで、と遠山は困り顔だ。
「泉田さんは、どうお考えになりますか?」
そうですね、と敬之は優しい笑顔だ。
「一晩考えましたが、九丈さんはお若いが、しっかりした立派な方だ。幸樹を託してもいい、と思います」
「お父さん、ありがとう!」
だが、遠山は手を横に振った。
「ヤクザの世界で立派、ということでしょう? 私は、幸樹くんには堅気の人と一緒になってもらいたい」
渋い顔の遠山に、玄馬はぐっと頭を下げた。
「そのヤクザが、足を洗ったとしたらどうですか?」
敬之が、遠山が。
そして幸樹が、息をのんだ。
まさか、玄馬さんがそんなことを考えていたなんて!
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