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第ニ十章・9
「幸樹、明日は婚約指輪を買いにでかけよう!」
「もう、玄馬さん。それは先だって、贈っていただきました!」
「ちゃんと石の付いた、豪華なものを!」
「これで充分です!」
欲がないなぁ、と玄馬は首をひねった。
「まぁ、そんなところも好きなんだけど」
途端に赤くなってしまう幸樹を、玄馬はその胸に抱いた。
幸樹の部屋着は、もうぶかぶかではない。
ちゃんと、サイズの合うものを準備していたのだ。
「いつかまた泊ることがあるかと思って用意してたけど、まさかこんなに早く役に立つとはね」
「玄馬さん。僕、嬉しいです」
「私もだよ」
遠山と、敬之。
二人が、結婚を祝福してくれることになったのだ。
「人生最良の日だ」
「欲がないですね、玄馬さん。これから先、もっともっと良い日を迎えましょう」
確かにな、と玄馬は優しく幸樹にキスをした。
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