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第二十一章・7
「何を編んでるんだ?」
「赤ちゃんの、靴下です」
柔らかな毛糸で紡がれるのは、小さな小さな靴下だ。
「気が早いな」
玄馬は笑って、幸樹の腹に手を当てた。
「ん? 動いた気がするぞ?」
「まだ4週間ですよ? 玄馬さんこそ、気が早いなぁ」
「だが、こうしていると」
玄馬はソファに掛けている幸樹の膝に頭を預け、その腹部を抱いた。
「妙に、落ち着く。幸せな気分に、なれる」
「玄馬さん、お父さんになるからですよ。きっと」
「お父さん、か」
そこで玄馬は、顔を幸樹に向けた。
「遠山さんや泉田さんみたいな、立派な父親になるよ」
「玄馬さんなら、安心できます」
膝上の、玄馬の髪をなでながら、幸樹は微笑んだ。
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