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第4話

「何だよ?!鳩が豆鉄砲食ったような顔して… 」 「こんなところ見せられれば普通にそうなりますって…ごめんな、宗也。」 落ち着いた二人が部屋着に着替え、消灯時間が過ぎたためにあのまま常夜灯と月明かりだけの暗い部屋で、三人がベッドの上で向かい合う。 律と志貴が宗也に話しかけるも、未だに自分の見たモノのショックから抜け出せずにいる宗也は、まるでフリーズしたPCのように反応がないまま。 「おーい!宗也ぁ!!…目ぇ開けたままで寝てるんじゃねぇか?」 何の反応も示さない宗也の頭をぽんぽんと軽く叩いたり、頬をつねって伸ばしたりしながら志貴が呆れたように言う。 「起きてます!!」 頭を叩く志貴の手をいきなり掴んで払い落とすと、宗也は志貴には目もくれずに身体ごと律と向かい合った。 「宗也?」 律が心配そうに宗也の名を呼ぶが、その声に被せるようにここまでじっと黙っていた宗也が口を開いた。 「律先輩って…尻に欲しい側じゃなかったんですか?志貴先輩、ずっと律先輩の尻とか悪戯してましたよね?!」 あまりの直球の質問に律の顔が暗がりでも分かるほどに赤くなる。 さすがにこれには志貴も天を仰ぐと、先ほどとは違って、力の込められたゲンコツが宗也の頭に降ってきた。 「いっっっってぇえええっ!!!」 「バカか?!もうちょっとオブラートに包んで言えよ!…ったく!」 志貴が俯いたままの律の肩を抱き寄せ、律が志貴の胸に顔を埋めた。 「だって、他に言いようがないじゃないですか?!…マジで痛いんですけど…」 恨めしそうに志貴を見ながら、自分の頭をそろそろと撫でる。 「まったく…律がどうのじゃなくて、俺が受け入れたい方なんだよ。ただ律はあまり性欲がなくてな…それで色々と試しているうちに、俺に擦られたり触られたりするのが気持ちよくなって、それで…まぁ、なんて言うか…俺を満足させてくれるってわけだ。」 志貴の話しを聞いていた宗也が顔を歪ませるとイヤそうな声を出した。 「そんな先輩達の性事情とか聞きたくなかったんですけど…」 「お前が律に言ったことの方がエゲツないだろう!?」 志貴が宗也に食ってかかるのを、それまで志貴の胸に顔を埋めたままでじっとしていた律が顔を上げて止めた。 「志貴さん…宗也もいきなりあんな所を見せられて驚いているんですし、そんなに怒らないで下さい…」 「大丈夫だよ。律はここでじっとしてな。」 志貴の腕が律を優しく包み込む。 「はぁ?!何ですか、それ?まるで僕が悪いみたいじゃないですか…っ?!」 二人のやりとりを見ていた宗也が大声を出すが、志貴の手が伸びて宗也の口を塞いだ。 「んんんんーーー!」 抗議の声を上げる宗也に、腕に抱いた律を横にやった志貴の腕が宗也の腕を掴み、自分に引っ張り寄せるとほんの数ミリの鼻と鼻がつくかつかないかくらいの距離で止め、自分の手の上から宗也の唇に自分の唇を合わせた。 目を見開いた宗也に、その手を離して律を再び抱き寄せて一緒のベッドに入り込みながら志貴がいつもよりも低い声で宗也に言った。 「黙らないと今度は手はないよ…おやすみ、宗也。」 そう言ってタオルケットを被った志貴を真っ赤な顔で睨みながら、宗也も自分のベッドに横になってタオルケットを頭から被る。 その中でそっと唇に触れた宗也の指が、静かに下半身に伸びていった。

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