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第12話
律が自分の今聞いた言葉を頭の中で思い返す。
「射精出来ないように…して下さい。」
志貴の口から出た言葉のあまりの衝撃に、律の手が離れて志貴の身体がカクンと後ろに倒れそうになるのを宗也がその胸で受け止める。そしてそばに放り投げてある制服のネクタイに手を伸ばし、それを掴むと志貴の目の前で揺らした。
「これってちょうどいいと思いませんか?」
まるで猫が獲物を見つけた時のように志貴の目がそれに釘付けになった。
「志貴先輩、ちょっと我慢できなさすぎですよ?」
そんな志貴を見て宗也が苦笑する。
「だって…お前が俺の事…っ!」
最後の言葉を飲み込むようにして、志貴が横を向く。それを見て、宗也が嬉しそうに志貴を抱きしめて言う。
「そう、僕が先輩の事をこんなにエロくしちゃったんですよねぇ。こんな風に先輩が可愛くおねだりしてくれるなんて、夢見たいです…だからご褒美あげちゃいますね…ちょっとキツめに縛りますけれど、大丈夫ですよね?って志貴先輩、縛っている間に大きくしちゃったら食い込みが…あーあ、もうきつきつだぁ!」
ふふふと笑って、志貴の性器を指で弾く。
「ひゃああああん!」
志貴の甘い声に律の喉が無意識に鳴った。
「宗也ぁ…」
志貴が涙目で宗也に振り向く。それを見てそう言えばと宗也が志貴と律に向かって提案をした。
「僕、ずーっと志貴先輩の背中側にいるから、志貴先輩の顔がまともに見られていないんですよねぇ…そうだ!場所替えしましょう!」
「え?!」
二人が宗也の顔を見ると、にーっこりとした笑顔を見せた。
それは明らかにその裏に何かが隠れていると容易に分かるそれで、しかし志貴は自分の身に何が起こるのか、恐ろしいと思うよりも先に期待に胸膨らませていた。
「志貴先輩、そんな嬉しそうな顔しないでくださいよ…もっと酷いことしたくなっちゃうからさ。」
「宗也…になら…」
全身を真っ赤にさせて答える志貴に、完全に堕ちたなと律が思う。
「本当に志貴先輩ってば可愛すぎですよ…じゃあ、そんな先輩のお顔を見られるように場所替えしますね!」
ふふっと笑うと宗也が一気に志貴の中から自分のを引き抜いた。
「ひぃっ!ぃぃいいいいいあーーーーーーーっ!!
絶叫と共に、ギチギチに無理矢理2本飲み込んでいた志貴の身体がその衝撃に我慢できず飛び上がり、律のも体内から排出する。それまでずっと圧迫されていた腹が一瞬で空いた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
縛られているために出すことはできず、しかしそれは思った以上の苦しさと快楽を志貴に与えた。志貴は痙攣しながらベッドからずり落ち、頭だけがベッドに乗る形で肩で荒い息をする。
「志貴先輩、どうでしたか?」
志貴の前にしゃがみ込んで宗也が聞く。
志貴が少し顔を上げてこくんと頷くと、瞼を閉じた。それに満足そうに頷きながら志貴の髪を撫でていると、律が名を呼んだ。
「宗也。」
志貴の体から離された律がベッドの上に上半身を起こしながら宗也を呼ぶ。
「何ですか?律先輩。」
「まだ…スるのか?」
じっと律を見つめていた宗也が立ち上がりベッドに上がった。
「宗也…そこで…」
近付く宗也に律が少し後ずさる。
「まだ僕から逃げるんですか?」
宗也の言葉に律が動きを止める。
「逃げ…たいわけじゃないんだ。ただ、俺の身体が今までの俺の身体とは違ってしまっていて…これ以上どうなるのかと思うと…俺は志貴さんみたいに…」
最後は飲み込んだ言葉。
志貴さんみたいにあんなあられもない姿を晒したくはない。
「律先輩はシたい側ですしねぇ。難しいかなって思うんですけれど、それでもね、律先輩?」
「何だ?」
「理性も羞恥心も無くした律先輩を僕は見たいんですよ。」
そう言って舌で唇を舐める宗也を見て、律の全身が凍りつく。
身の危険すらも感じさせる宗也の今までの行為が律の恐怖心をさらに煽る。
「俺は…嫌だよ…宗也、俺はそんな風になりたくない。」
再び後ずさる律の背にベッドの端が当たり、逃げ場のなくなった事を理解した律が、ベッドから飛び降りようとするが その一瞬先に宗也の手が律の身体を掴んで抱き寄せた。
「ようやく捕まえられた…律先輩…さぁ、僕のモノになって下さいね!」
無邪気な笑顔の底にある狂気を感じた律が、未だに動けずに床に座り込む志貴を見る。
俺もああなっちゃうのかなぁ。
嫌だと、恥ずかしいと思う気持ちと共に、ほんの少しの好奇心もないとは言えず、しかしそれを良しとはしない律は好奇心を心から消し去るように頭を振った。
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