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第17話
「律先輩の紐の端…引っ張りますよ?」
宗也の言葉に律が早くと頷く。
「でも…律先輩のだけ取るのもなぁ…」
「宗也?」
律の胸に嫌な予感が湧いてくる。むしろ、今までの宗也のやり方を見ていれば、絶対に何かやられるという実感しかない。
「にゃ…にゃぁあ?」
志貴も宗也を見つめ、それでも言葉にはできずに宗也の言いつけ通りに猫の真似でその恐怖を表す。
一瞬止まった腰を再び動かす宗也に律が身体を宗也に預けるように仰け反った。
「ぃっ…ぁああああああああっ!そう…やぁっ!っかせてぇ!千切れる!痛い、痛いから!もう!もう、イかせてぇ!」
律の切羽詰まった叫びにも宗也の腰は止まらず、激しさを増していく。
「律先輩、それは僕へのお願いですか?」
「そう!宗也、お願い!」
律の言葉に宗也が唸る。
「んー?お願いって、そういうふうにするものでしたっけ?あ、僕が先輩よりも年下だからかなぁ?」
「宗也?」
宗也が明らかに面白がっているのがわかる。律に何をさせたいのかも。だが、律のプライドが宗也の言う通り、年下相手に頭を下げさせることを良しとはしなかった。
そんな律の心の内を見透かすように宗也が律の紐の端を手から離した。
「宗也、どう言うつもりだ?」
律の声が震える。紐は宗也の腰の動きに合わせて少しずつ志貴の中へ入っていく。このまま全ての紐が入ってしまったら、律はいつまで経ってもこの苦しみと痛みから解放されない。
律が焦ってヒモを捕まえようとするが、宗也の腰に揺さぶられている体ではそれもうまくいかず、律の目の前で紐はどんどん短くなっていく。
「どうします?律先輩の紐、志貴猫の中に入っちゃいますよぉ!」
痛みと苦しみに律の口が開き、涎が志貴の身体に垂れる。
もう、そろそろかな…
宗也がそれを見て、背中を押すように律の耳元で囁いた。
「律先輩…お願い…します。でしょ?」
そうして微笑んだ宗也の手に握られている紐の端。
「それ…?」
ふふっと笑うと宗也が律に囁いた。
「こっちが律先輩のなんですよ…さぁ、これが本当に最後の…」
「宗也!」
宗也の言葉を最後まで聞くことなく律は叫んでいた。
「お願い、宗也。どうか、お願いします。俺の縛っているヒモを取って下さい。俺をイかせて下さい!宗也…お願い…お願いします。」
あんなに高かったはずのプライドは今の律には微塵もなかった。今はただ、宗也の手に握られているヒモを引っ張って、ただただ楽になりたかった。
ようやく…か。
宗也が心の中でほくそ笑む。
「律先輩、良く出来ました!ご褒美、上げますね?」
宗也に褒められ、抱きしめられて、律の心は嬉しさで一杯になる。
宗也が腰を上げて、自分のモノを志貴の中から抜くと、志貴が寂しそうに一声鳴いた。
「にゃぁ。」
「もう本当の猫みたいに上手ですよ、志貴先輩!」
宗也に頭を撫でられ、志貴の顔が綻ぶ。
いいなぁ…
律が無意識にそう思い、すでに自分も志貴のように宗也の手に完全に堕ちたことを自覚した。
しかしそれでもさっきまでのような嫌悪感はなく、むしろその堕ちた感覚の気持ち良さに身を任せる。
「さぁ、律先輩のご褒美タイム…いきますよ?」
そう言って、ついに宗也の手が持っている紐の端を一気に引っ張った。
摩擦熱で火傷しそうなくらいの熱さと共に、一気に我慢していたものが吐き出され、律は快楽の中で絶叫を上げながら完全にその意識を閉じた。
「ふにゃぁああああああああっ!!」
志貴も猫のそれで悲鳴を上げた。
律が摩擦熱を感じたように、それを胎内に入れている志貴もその熱と痛みを感じて涙を流した。
「にゃ…にゃぁああ…にゃあ。」
「志貴先輩、痛かったんですか?んー、これは僕の想定外でした。すいません、志貴先輩。」
宗也が謝ると、志貴がだったらとおねだりを始めた。
自分で指を舐めて律のいる中に埋めていく。そして宗也をトロンとした目で見上げると、まるで誘うようににゃぁあああんと鳴いた。
「仕方ないですね。これは僕の失敗ですから。それにしても志貴先輩はすごいおねだり上手になりましたね!でもね、先輩。そんな風に煽られたら僕、優しいご褒美はあげられませんよ?」
「…喋って…いいですか?」
志貴が恐る恐る宗也に伺う。
「どうしたんです?いいですよ、喋って。」
宗也に許された志貴が、こくんと頷いて口を開いた。
「お願い、俺を律よりももっともっと虐めて!愛して!褒めて!律よりも俺を…もっと宗也に好かれるように頑張るから!お願いします!」
「ちゃぁんと律先輩と僕の会話を聞いていたんですね。志貴先輩はおねだりもお願いもすごい上手だ…でもね、僕は二人とも大好きだし、愛しているんですよ?律先輩よりもって言われてもなぁ。」
そう言って、ため息をついて横を向く。
それを見た志貴の顔が青ざめ、宗也に涙ながらに訴えた。
「ごめ…ごめんなさい、宗也!お願い、俺を嫌わないで?宗也、ごめんなさい!」
宗也がちらっと志貴を見てふふっと笑うと、志貴に向き直り指でその涙を拭った。
「嫌うわけないでしょ?全く可愛いなぁ、志貴先輩は。やっぱり優しいご褒美は無理だなぁ…だってこんなに可愛い志貴先輩なんだもん。僕でもっともっと泣かせたくなっちゃった…それでも、僕のご褒美が欲しいですか?」
志貴が大きく頷く。むしろそれこそが志貴の一番欲しいモノ。動かない律の体を別のベッドに寝かせると、宗也は手に持った志貴に繋がる紐の端を力任せにギュッと絞った。
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