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第10話

夜はいつの間にか終わっていて、朝日が差し込んできた。 僕たちは用意された真新しい軍服を着て、最期に抱き合った。 「また逢おう」 「うん……」 僕は、ひとりで死ぬんじゃない。 最初で最期に愛した人と一緒に死ぬんだ。 きっと、同じ場所に逝って、一緒に花になれるんだ。 戦闘機に乗り込むと、僕は胸ポケットにしまい込んだ鮎原君からの贈り物に触れてから飛び立った。 空は薄暗く、灰色だった。 目的地まであと僅か。 そこまで来た時に、敵機が僕らを撃墜しに来た。 僕も右翼をやられ、バランスを崩しながら何とか応戦したけれど、このまま行けば敵艦に体当たり出来ない気がした。 「…………」 どうせなくなる生命だから。 僕は間近にいた敵機に標的を変え、突っ込んでいった。 目の前が光に包まれる。 鮎原君もこの先にいるのかな。 早く逢えたらいいな……。 遠のいていく意識の中で、僕はそんな事を願っていた……。

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