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第12話
そう言われて、僕は生まれ育った故郷の事や軍に所属していた事などを大雑把に話した。
「……成程。キミの国もまた、危機に晒されているのですネ。実は私たちの国も長きに渡り戦火の中にありまして、今もまだその火は消えていないんですヨ。そうした似たような状況から、キミは私たちの世界に迷い込んでしまったのでショウ」
「そうなんですか……」
ロブレヒトさんは、自分たちはズワルツ王国領ローツという場所で生まれ育ったものの、幼い頃からズワルツ王国からの圧政に苦しみ、王国からの独立を目指して領主が軍を編成し、戦っている最中だと話してくれて、ここはその軍の砦だと教えてくれた。
「軍人という事ならば、キミにもぜひ力になって欲しいデス。ユープもそう思いませんカ?」
「……そうだな。人手はいくらあっても困らない。お前、何が出来る?」
「戦闘機に乗れるのと、銃は扱えます。あと剣術も少しは」
ユープさんに尋ねられ、僕は答えた。
「セントウキという武器はここにはないが、銃と剣が使えるのは戦力になるな」
「イベリス様にお伝えし、軍の協力者として迎える事にしまショウ。ええと、何て名前でしたっけ?長くて覚えられマセン」
「岩浪純一です」
「イワナミジュンイチ……もうこの世界ではジュンで良いでショウ。実に単純明快デス。キミはこの世界ではジュンとして生きて下サイ」
「は……はぁ……」
「回復次第、私たちの主、イベリス様に謁見して頂きマス。今、薬を用意しますのでそれを飲んで身体を休めて下サイ」
状況がよく掴めないまま、僕はジュンと名乗る事になった。
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