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第14話

隊の食堂の様な場所に案内され、僕はこの世界の料理を頂いていた。 服装が異なるだけでなく、料理もまた、僕が今まで食べてきたものとは異なっていた。 「そなたの口に合うか?」 「ありがとうございます、美味しく頂きました」 食後に飲む物、という事で運ばれてきた飲み物を口にする。 ワインに似た味だった。 「赤らんだ顔もまた美しい……」 イベリスさんと向かい合って食事をとっていた僕の頬を、彼が再びその手で触れてくる。 『お酒を飲むと赤くなるんだな。そんな顔も素敵だよ』 実家から送られきた、と言って一緒にお酒を飲んだ日の鷹島君と今のイベリスさんが重なる。 僕は驚きのあまり、身体を震わせてしまっていた。 「そなたは感覚が鋭い様だな。また驚かせてしまい、済まない」 「いえ……」 その手を名残惜しそうに引っ込めるのを、僕は見ないようにした。 「話を変えよう。そなたの家族は存命か?」 「両親は恐らく。ですが兄ふたりは僕より先に従軍していますので分かりません」 「そうか。俺はこの戦いで早くに父を亡くし、15で領主となった。ここから少し離れた場所に俺の城があるが、そこには母と妻と妾、そして子供が4人いる」 「そうなんですか……」 この世界で妾がいる事は隠すべき事ではない様だ。 そうでなければ今のような話をする事などないだろう。 「明日はささやかだがそなたの歓迎の宴を催す事にしよう。楽しみにしていてくれ」 僕が黙っていると、イベリスさんはそう切り出して笑った。 「……ありがとうございます……」 その笑顔も鷹島君そっくりで、僕はその顔を真っ直ぐ見る事が出来なかった。

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