20 / 50
第20話
ズワルツの都から最も近い砦を奪還出来たその日の夜。
イベリスさんがそこで労いの宴を開き、僕も参加する事になっていた。
ユープさんは相変わらずいらっしゃる事はなく、僕はイベリスさんの隣に座らされていた。
「そなたの活躍もあって砦の奪還に成功出来た。改めて礼を言おう」
「とんでもない事でございます……」
上機嫌なイベリスさん。
お酒もかなり進んでいる様だった。
「こうして美味い酒を飲めるのも、そなたのお陰だ」
その手は見えないところで僕の脚を撫でていた。
「……あの……」
そのいやらしい触り方に、僕の背筋はぞくっとしてしまう。
「済まないな、久しくそなたを見ていなかった故、そなたに触れていたい」
「……はぁ……っ……」
鷹島君と同じだ、と僕は思った。
彼も気持ちが昂るとそれを抑えられず、僕を犯す時があった。
イベリスさんが大股にまで手を伸ばしてくると、長らく誰とも関係を持っていない僕の汚れきった身体は反応してしまう。
「や……止めてくださ……」
「そのような顔をして、嫌がっているようには見えないが」
「うぅ……っ……!」
1番弱いところに触れられると、上ずった声が出てしまいそうになる。
「場所を変えよう。ついて来い」
耳元で囁くと、イベリスさんは僕の手を引っ張って違う部屋に連れて行った。
広いベッドのある、豪華な部屋。
イベリスさんは僕の衣服を脱がせると、僕をベッドに寝かせてその上に跨った。
「美しい……やはりそなた、女の身体であったか……」
「はぁ……あぁっ……」
僕の女性器に触れてくる手は粗暴で、鷹島君の様だった。
それなのに僕の身体はかつてと同じく、その手によって熱を帯びていく。
「どんどん溢れてくる……そなたがこんなに淫らだったとは……」
「や……あぁぁ……ッ……!」
半ば無理矢理指を挿入され、内部を掻き回されると強い快感に襲われ、僕はどうしようもなくなっていった。
「ジュン……その身体で俺を慰めてくれ……」
服を脱いだイベリスさんが僕の身体に重なってきて、僕の中に挿入ってくる。
「ひぁ……ぁうぅっ……!!」
ほんの少しだけ痛かったけれど、それは一瞬の事だった。
「あぁ……何と言う心地良さだ……」
同じだ。
あの時と、何もかも。
目を瞑った僕の頭の中に、鷹島君との行為が蘇ってくる。
『噂以上だね、岩浪君……っ……』
僕を押さえつけるように抱くその身体の動きも、荒い呼吸も。
全てが鷹島君と重なった。
あぁ、僕はどこにいても同じだ。
この身体は人を狂わせる。
鮎原君。
それでも君は僕を待っていてくれるだろうか。
僕は君のところに逝けるだろうか。
イベリスさんに抱かれながら、僕はずっと鮎原君の事を思い浮かべていた。
ともだちにシェアしよう!