25 / 50

第25話

「身体はもう大丈夫なのか」 「……はい、大丈夫です……」 夕食時、僕の隣に座ったイベリスさんに尋ねられ、僕はその顔を見ないで頷いた。 「辛い時に傍にいられなくて済まなかった」 「……いえ、ご心配をお掛けしました」 食後、僕はイベリスさんの部屋に呼ばれ、ふたりでお酒を飲む事になった。 「今宵は深酒しないようにしないとな」 「そうですね……」 肩を抱かれても、優しい言葉を掛けられても、僕は何も感じなかった。 鷹島君の時と同じように、イベリスさんの言動は軽薄だと思ったんだ。 「明日の夜もまた逢ってくれるか?」 「……分かりました……」 流石に今夜は僕を抱こうとしなかったけれど、明日はきっとそうじゃないだろう。 イベリスさんの部屋を出ると、僕は隣の自室に戻り、すぐ休んでいた。 早く朝を迎えたかったからだ。

ともだちにシェアしよう!