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第28話
『お前との愛は、花を育てるようにゆっくり育てていきたい』
別れ際、そう言ってくれたユープ。
その言葉を思い出すと、嬉しさと気恥しさとで頬が熱くなってしまう。
「ジュン様、大丈夫ですか?お熱でもあるのでしたら、解熱効果のあるお茶をご用意しますが」
食堂にひとりでいると、アリーさんが話しかけてくる。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
「そうですか。分かりました」
屈託の無い笑顔を浮かべるアリーさん。
「あの……ジュン様、お聞きしてもよろしいですか?」
「何でしょうか?」
「あ、愛する方に愛してもらえるようになるにはどうしたらいいのでしょうか?」
「……え……?」
人目を気にしながら話すアリーさんの頬がみるみる赤く染まっていく。
「ぼく、早くロブレヒトさまとの間に子供が欲しいんです。でも、ロブレヒトさまはまだ早い、もう少しふたりだけの時間を楽しもうって仰っていらして。この世界では結婚と同時に子供を授かる事がほとんどなのに、ぼくはまだ……ロブレヒトさまに愛されていないんです……」
「……そうなんですか……」
こんなに幼いのに子供を望んでいるなんて、と僕は思ってしまった。
「ぼく……11の時に軍医だった両親がこの戦いで死んでしまってひとりぼっちになってしまったから、ロブレヒトさまはそれを哀れんで結婚して下さっただけなのかもしれないんです。ぼくの父がロブレヒトさまの師で、ぼくは幼い頃からずっとロブレヒトさまに憧れていましたけど、ロブレヒトさまはあのように素敵なお方ですから、他にお相手がいらしたとしてもおかしくはないんじゃないかな……って……」
アリーさんの目に涙が浮かんでくる。
「ごめんなさい、こんな話をしてしまって……」
「いえ……」
何て声をかけたらアリーさんを傷つけずに済むだろう。
僕は返す言葉を探した。
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