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第31話《ひとときの幸せ》

新しい砦に移動して半年、戦いは膠着状態が続いていた。 僕はイベリスさんの相手をしながらも、ユープとの時間を大切にしていた。 ロブレヒトさんからもらった媚薬は部屋の引き出しにしまったまま、ユープとは抱擁や口付けを交わす事はあっても、それ以上の触れ合いはなかった。 それだけでも十分幸せな筈なのに、いつしか僕は少しずつ、もっとユープと触れ合いたいと思うようになっていった。 『俺がお前の全てを貰うのは、お前に俺の子を孕んでもいいという覚悟が出来た時だ』 イベリスさんに何度抱かれても妊娠しない僕が果たして妊娠するのだろうか。 半信半疑だった僕は引き出しから媚薬を出し、ズボンのポケットに入れてしまっていた。 朝、ユープを探しに行こうと思って部屋を出ると、笑顔を浮かべるアリーさんと廊下で出会った。 「あ、ジュン様、おはようございます!!」 「おはようございます」 「ジュン様、以前はぼくの話を聞いて下さり、ありがとうございました!!あれからぼくなりに考えてロブレヒトさまに打ち明けたんです。そしたら……ロブレヒトさまがぼくの事……」 話しているうちにどんどん顔が赤くなっていくアリーさん。 「最初はすごく痛かったんですが、ロブレヒトさまに愛して頂けてとても幸せな気持ちになりました!それで今朝……ぼくのお腹にロブレヒトさまとの子供がいる事が分かったんです!!」 「そうですか、おめでとうございます」 廊下で大声で話す内容なのかと思ったけれど、アリーさんは全然気にならない様だ。 「ありがとうございます!この子が産まれる頃までに戦いが終わっているといいのですが……」 嬉しそうにお腹をさするアリーさん。 ロブレヒトさん、あの媚薬使ったのかな。 アリーさんに聞ける訳もなく、僕はアリーさんと別れて外に出ていた。

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