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第33話
「……ジュンイチ……」
ユープの姿が人に戻っていく。
「ユープ……僕……」
「……何も言わなくて良い」
繋がったまま、ユープは僕に口付けてくれた。
「俺が臆病だから、お前が覚悟を決めて
背中を押してくれたのだろう?」
そう言って、ユープは僕のお腹を撫でる。
「……あ……」
最後に見た時よりも更に膨らんでいるそこには、九重葛の様な花がくっきりと浮かんでいた。
「ウォルフ族は受精も妊娠期間も人間よりも速い。そしてこの花はウォルフ族のシンボル、ブーガンの花だ」
「そうなんだ。僕の世界にも似ている九重葛っていう花があって、その花には情熱とか、貴方しか見えないっていう花言葉があるんだよ」
「貴方しか見えない……まるで俺の様だ」
ユープが僕の頬に触れ、まっすぐに僕を見つめてくる。
「俺には最初からお前しか見えなかった。こんなにも誰かを愛おしく、自分だけのものにしたいと思った事は今まで1度もなかった」
「ユープ……」
唇が再び重なる。
「んん……ッ……!」
抱き合いながらお互いの唇を吸ったり舌を絡めあうと、僕の身体はまた熱を帯びていった。
「お前を誰にも渡したくない」
僕の中にいたユープも熱くなっていくのを感じる。
「ユープ、このまま僕を……」
抱いて下さい。
恥ずかしかったけど、僕はそうお願いしていた。
「……そのつもりだ……」
ユープは僕の頭を撫でながら優しく囁くと、僕の腰を掴んで自分の方へと擦り付けるように動かしてくる。
僕もユープに悦んで欲しくて、夢中で腰を動かしていたんだ……。
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