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第46話
「俺との間に子供がいたなんて……」
「ごめんなさい、僕が…僕がお腹に銃弾を受けたせいで殺してしまったんだ……」
「君のせいじゃないよ、岩浪君。だからもう泣かないで……」
優しく口付けてくれる鮎原君。
ずっと、ずっとこんな時を夢見ていた。
「ローツ軍に腕のいい狙撃手が突然現れたと聞いた時、君の狙撃の腕はかなりのものだって軍内で評判だったから君であってくれたらって思ったんだ。だけど僕の前に現れた君は大きなお腹をしていたから、顔だけがそっくりな人だと思った。君と過ごすうちにもしかして……と思っていたけれど、君の幸せを考えた時、このまま言わないままでいるのがいいと思っていたんだ。君も俺を見て、同じ事を感じてくれていたんだね」
「鮎原君、君は本当に死ぬつもりなの?それなら僕も、僕も一緒に……」
「駄目だよ、岩浪君。君は、君の生命はもう君だけのものじゃない。分かるよね?」
鮎原君の手が僕のお腹をさする。
「今、君が死んだらこの子達はどうなる?子供達と、ユープ隊長と一緒に生きていくって決めたんだろう?」
「でも……」
「岩浪君、俺はあの時と同じ、平和の為に死ぬ運命を与えられたんだ。だけど君は違う。君は生きる為にこの世界に来たんだよ。だから君は絶対に死んじゃいけない。子供達もそう思っているよ」
「うぅ……っ……」
先程よりも強い胎動に、僕は声を上げてしまっていた。
「ほんの少しの間だったけれど、君とあの頃みたいに過ごせて俺は本当に幸せだった。母親になる為に変わっていく君の姿を見られてとても嬉しかった」
「鮎原君……」
その気持ちを変える事が出来ない事を、僕は悟った。
ならば彼が最期を迎える前に何か出来る事があるなら何でもしてあげたいって思ったんだ。
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