14 / 30
第14話
朦朧としながら僅かに瞼を開けた。
頭には鈍い痛みがあった。
頭を抑えながら、のろのろと上半身を起こす。
「ようやく起きたか」
和典の声にハッとする。
見渡してみると、晶と知り合う前によく足を伸ばした和典の部屋だった。
ベッドに寝かされていた。
「....まさか、薬でも盛った....?」
冷ややかに和典を見上げると、和典は肩透かすように笑った。
「ああ。お前がひょいひょい、ここについて来るとは思えなかったからな」
「....飲みに付き合うだけって言ったじゃん、また、俺を騙したの?」
晶は和典の本命の彼氏だった。
そして、自分は浮気相手だった。
騙されていた、それを知ることが出来たのは晶と鉢合わせしたお陰。
「言っただろ?お前が好きだって」
「....なんの話し?」
「あの頃、そう言ったろ?正直、お前は料理もしてくれる、家事も得意でさ、たまにおっちょこちょいだけど、笑顔が耐えない、誰かさんと違って」
光は呆然となり、言葉を失った。
「あいつ、晶はさ、お前と出逢うよりも先に出逢ったけど、下の世話しか出来やしない、愛想もなけりゃ、すぐにヤキモチ妬くは、嫉妬する、正直、面倒くさくてさ、お前に乗り換えるつもりだったんだよ」
晶の文句に光は激昂した。
「晶の悪口、言うなよ!」
和典が顔を寄せ、詰め寄ってくる。
光は尻込みした。
背中に壁がくっついたまま、和典を睨み上げた。
「なに晶を庇ってんの?友達にでもなったか?」
和典の手が光の頬をなぞり、ゾクッとした。
晶と付き合ってる、と言ってしまったら....
光は困惑の眼差しに変わる。
「お前とやり直したい、光。心配しなくても、今、他に彼氏はいねーよ」
「....どうだか」
困惑と訝しみの混ざった光の瞳と勝ち誇ったような和典の瞳が交錯した。
「....もし、いたとしても、俺にはもう関係ない。和典に興味ない」
低い口調ながら、はっきり光は和典に言い放ったが、そんな光は和典に力づくで押し倒された。
「やめ、やめて....!」
和典に乱暴に着ていたTシャツを剥ぎ取られた。
晶はその頃、光のいない部屋をいつもより広く感じ、ビールを片手に、ベランダに立った。
見上げると、少なくはあるが、星空が見えた。
ともだちにシェアしよう!