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第20話

「ゲイではない僕が相談相手になれるか、わからないけど...僕は地元にね、幼なじみでもある彼女がいるんだ」 「そうなんですね...」 「もし僕が晶くんの立場だったら...」 橋口が湯気を立てるカップを手に思案した。 「晶くんはさ、元彼の言うことを丸々、信じすぎなんじゃないかな?光くんの話しはちゃんと聞いてあげた?」 両手でカップを持った晶は、しばらく視線を泳がせ、首をゆっくり横に振る。 「僕の方が年上なんだし、いいアドバイスが出来たらいいんだけど。安心して。ゲイを差別するような気持ちはないから。ただ、僕はゲイではないから、わからない部分もあるかもしれない、それは承知してね」 優しい橋口の笑顔に、晶はようやく安堵の気持ちが生まれたと共に、類の存在を思い出した。 「....出店の準備で忙しいかな...」 ポツリ、呟く晶を見つめたまま、橋口はカップを傾けた。 「そ、その、電話、してもいいですか?」 橋口に告げると、もちろん、と返事を貰い、晶は類に電話した。 しばらくして、類が出た。 「久しぶり、晶、どうした?」 肩でスマホを挟み、手元の書類に目を通しながら類が明るい声。 「え...あ、その....」 晶が口下手なのは類は充分、承知だ。 「その感じだとなんかあった?」 「でも、その...忙しいですよね、類さん...それに僕と光のことだし、僕たちで解決しないと....」 「なに言ってんの、晶も光も僕には大事な存在なんだから。そういえば、忙しさにかまけて、引っ越し祝いにも行けなくて悪かったね、位置情報、送って貰える?」 「わ、わかりました」 「着いたら連絡するね」 そうして電話が終わると、さて、と類はデスクから立ち上がり、出かける準備に取り掛かる。 「出かけるの?類」 「うん。また後でね、マフィ」 類はマフィについばむような軽いキスをした。

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