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第23話
「....それで。光は和典、だっけ?本当は光が本命だったことや本当は和典って奴、晶から自分に乗り換えるつもりだった、てそれが事実なら。
光は嬉しかった?光は当時、自分が本命だと思っていたけど、浮気相手だと思ってたんだよね?」
敢えて、類は晶に光の本心を聞かせる為に尋ねた。
光はブンブン、激しく首を横に振った。
「あの頃なら...和典を好きだったあの頃なら、う、嬉しかったかも...今はおっ、俺、晶が好きだし、き、気持ち悪いとしか、おっ、思えないし...っ。晶に対して和典、謝って欲しい...っ、晶は和典が好きだったのに...っ」
涙でぐしゃぐしゃな顔で光はヒクッヒクッとしゃくり上げた。
「....晶を思って、光は敢えて、晶にきちんと話さなかったんだね」
類は優しく微笑み、光の頭を優しく撫でた。
「きっ、傷つけ、たくないから...っ」
「光....」
ふと光が振り返り見上げた先、晶が光を見下ろし、立ち尽くしていた。
晶がしゃがみ込み、晶の手が伸びてくるなり、条件反射でビクッと体が跳ねた。
「....叩いたりしてごめん、光」
晶は光を力強く抱き締めた。
「また晶、光を叩いちゃったの?まあ...光も全てを晶に話さなかったみたいだし、今回はどっちもどっちかな」
困惑しながらも晶に抱きすくめられ、呆然としている光。二人を類は優しい瞳で見つめた。
「....俺のこと、そんな気遣ってくれなくって、平気だったのに....。俺、別に今更、和典になんて言われようと気にしないもん...
だって、俺には光がいるから」
光は晶の肩越しで唇を噛み締め、再び涙が込み上げた。
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