泣き疲れたであろう光を類は寝かしつけ、晶はその寝顔を暫し、見つめた。 光が眠った後は、類と二人で話しをした。 ｢...初めて見ました、光の涙...｣ ｢そうなの？晶と付き合うって相談されたときさ、晶を守る、て意気込んでたからかな。実は結構、泣き虫だよ｣ 類が晶に笑みを浮かべ教えると、晶は目を丸くした。 ｢僕...てっきり、光は僕と違って、凄く社交的でよく笑うし、表情も豊かで万人受けするし...｣ ｢そこは昔から変わらないけどね、いつも失恋しては泣いてた、また騙された、て。誰かの為に泣いてる姿を見たのは初めて。ホントに晶のことが大好きなんだな、て伝わったよ｣ 晶も同じくで、光の自分への優しさを強く感じた。 ｢...これから気をつけます。僕、いつも、しっかり者な光に甘えっ放しで...だから、つい、光を叩いてしまうんだと思います｣ ｢光が優しいからでしょ？光はそこ、気にしてはないと思うよ。それより、もっと光のこと、信じてあげて？光の為にも、晶の為にも｣ ｢...はい｣ 晶は強く頷いた。 今回の件も和典の言うことばかり真に受けて頭に血が登り、光の本心を引き出せなかった。 ｢あともう少しなんだよね｣ ｢え？なにがですか？｣ ｢もうすぐ、出店出来そうなんだ、マフィとの共同経営のレストラン、少し準備、早めようかな...早く二人をこっちに呼びたいし｣ 類が小首を傾げ、思案した。 ｢その、それって...？｣ ｢今のダイニングバーの代表にも承諾を得てるんだ。二人をこっちの、僕たちの店に移動をお願いしたい、て｣ 類が優しい眼差しで笑みを浮かべた。 ｢光にもまだ知らせてはないけど、良かったら、こっちで一緒に頑張ってくれる？晶。面接で一から、てより、知ってる間柄のがやりやすいし、それにほら、互いの相談や愚痴も話せるしいいよね、てマフィとも話してたんだ｣ 晶は息を飲んだ。 ｢も、もちろんです！光、喜びます！類さんがいなくなって、凄く落ち込んでたんです。そこに和典が現れたから...｣ 語尾につれ、晶の声は細くなる。 ｢そっか...明日は二人とも、バイトあるなら休みな。僕からテキトーに伝えとくから、二人の時間を楽しんで？｣ ｢ありがとうございます、類さん｣ 感謝してもし切れない思いでいっぱいだった。