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中学時代
そう、俺らは仲が良かった。
元々、女子に興味が無かったし、そういう仲になろうとも思わなかった。夏越は一緒にいたって気を遣わなくていい気楽な関係。だから、盛んな性欲をぶつける相手も夏越だった。
「ゆうくん、はいあーん」
放課後、夏越の両親が仕事でいない時間。近くでやっていた祭りの屋台でブルーハワイのカキ氷を一つだけ買った。
「おいしい? ゆうくん」
夏越が緑のストライブストローを持って笑いかける。サクサクとカキ氷をストローで刺しながら俺の返事を待った。
「ん、冷たい」
ザクッと深くストローを突き刺した夏越は大きく氷を掬い上げ俺に見せる。
「じゃあ、あったかくしてあげる」
夏越はカキ氷を口に入れた後、俺の下唇に親指を当てて口を開かせる。そのまま口を重ねて溶けきったカキ氷を飲ませた。
甘い蜜が喉を通りゴクリと飲み干せば唇が離れ、銀糸が机の上にポタリと落ちた。
「どう? あったかくなった?」
「ああ、さっきよりもうまい。……もっとよこせ」
ねだるように舌をちらつかせれば、おもしろいぐらいに夏越の目が輝いた。
「ゆうくんのお願いなら」
そんな事を繰り返していれば、あっという間にカキ氷の大半は溶けてしまいカップの底には水色の液体が残る。
「あーあ、溶けちゃった……」
残念そうに夏越がカキ氷を混ぜている容器を奪い取り、流し台に残った液を捨て容器をゴミ箱に投げ入れた。
「そんなもの、もうゴミだろ。さっさとヤろうぜ」
キッチンにかけてあった、まだ使われていないタオルで夏越の目を覆う。
「たまには、ゆうくんの顔を見てみたいなぁ……」
とか言いつつ夏越はタオルを手で押さえるから従順だ。
「あ、ん、ゆうくん、いいよう……最高だよ……もっと……もっと来て……」
夏越は何をしても受け入れてくれる。聴き慣れた声は不快に何か思わなかった。
「――あ、あ、あっ」
M字開脚している夏越の膝に手を置いて、強く腰を打ち付ければ「んはっ」と声を大きく荒げて中が締まる。
漏れ出る白濁が恥ずかしいのか必死に股間を手で押さえる夏越。手の隙間から零れるのがエロかった。
「あ、んまたおっきくなった……」
嬉しそうに笑う口元を見て無性にキスをしたくなる。いくら腰にタオルケットを巻いて置いてあったって柔らかくない身体は曲がらない。届かないキスがじれったかった。
「また、僕の家来てくれるよね?」
「ああ」
夕方になって夏越の家を出た時、びっくりした表情で怪しいババアが俺らを見ていた。夏越の様子を見るに両親では無さそうだ。誰だか知らないけれどムカついたから睨み返す。
「何、見てんだよ。ババア」
「ゆうくん、言い方」
話しかければすぐにそそくさとどっかに行った。
「なんだよ、あいつ。気味が悪い。じゃあな」
「うん、また明日」
また夏越の家に来る――……その日が訪れる事は無かった。
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