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第2話
がやがやと話す声が徐々に近くなる。
息を詰めた。
裏庭なんて滅多に来ないのに。何故。
通路の桜など毎年咲いているのに、誰も見向きもしなかった。
主庭の桜しか見なかったくせに。
どんなに狂い咲いても、裏庭や通路の桜などその存在を気にもしていなかったくせに。
表面ばかり取り繕う彼らの価値観に、土足で踏み込まれる不快感。
誰も来ない自分だけの居場所を侵される理不尽な怒り。
それでも、逃げなくては。
居てはいけない自分が、彼らの前に姿を見せれば――叱責では済まない。
失望だけでは済まない。
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