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第11話

「確かにみっとも良い恰好とは言えませんが、この程度で目くじらを立てる程狭量ではないつもりです」 叱責されている子供よりも、もっと幼い少年の言葉。 しかし誰一人笑うものはいない。 怯えと期待交じりに少年を見る父と母。 そして、兄はどこか冷たい目をしている。 値踏みしているのか、それとも年齢よりも大人びた少年を生意気だと思っているのか。 「体調不良で休まれていたと伺ってます。ここは裏庭、客が来るとは予想外だったとも考えられます。恰好からして外の空気が吸いたくなり出歩いていたのでしょう。そして部屋に戻る所を転ばれたご様子」 幼いが凛とした声が響く。 何時もはただ自分を傷つける周囲の声が、唯の雑音となる。 自分が知る子供とは少し違う。 大人の顔色を窺うでもなく、また反抗的と言う訳でもない。 ――ただ、毅然としている。 「転んで地に伏せた我が子の心配もせず駈け寄る事もしない。それどころか、他者の前で足蹴にする様な真似が何故出来るのですか」 「そ、それは」 「過剰に遜る態度は今後両家の為にもなりません」

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