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第13話
「慈愛に満ちた錦様のお人柄に敬服いたします。噂通り、清らかで正しい。真っ直ぐでお優しい方だ。しかし、人の上に立つのならば慈悲をかける相手、時と場所は選ばねばなりません。見苦しい真似をした家人が居たならば、相当の叱責は避けられません。子供だろうと大人だろうと変わりません。錦様は「遊びに来たのではない」と仰られた。その通り。この度は両家の親睦を深める為に、ご足労をおかけすることになりました。ならば、我々は子供であろうとこの家の人間として相当の役割を果たさなくてはいけません。錦様がそうであるように」
兄は大人の男らしく年下の子供に諭す。
笑顔さえ浮かべて、喋り方は柔らかい。
しかし声音がどこか挑発的だ。
自分にはそれが、かなり怒っているようにも思えた。
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