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第15話
「錦様。今日は親睦の為に足を運んだのです。その辺にしましょう。子の前で親兄弟を怒るものではありません」
「怒っていない」
実際、少年の立場なら。
少年がもっと大人であれば、切り捨てるべき人間は切り捨てて、今の状況も見て見ぬふりをせねばならなかったのだ。
しかし、彼は自分を庇った。
少年が叱責をされるのではと心配だったが、口髭を蓄えた年配の付人は、好々爺とした笑みを浮かべる。
「本来なら本日の顔合わせは、錦様のお父上も出席することが望ましい所、私の様な代理でも快く受け入れてくださいました秋庭様の寛大さに感謝をせねばならないのですよ?」
「社長はご多忙を極めて居られている様で、我々は錦様に足を運んで頂けただけでも、充分でございます」
兄の返答に老紳士はニコニコと笑顔のまま何度か頷く。
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