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第3話

「早く手当を」 少年の背後から付き添いの男が「錦様、いけません」と注意をする。 眉を顰め、土と血に汚れた掌をハンカチで包む白い手元を見つめた。 兄や両親たちは、もう一人の付人と共にこちらを見ている。 心配そうな顔をしている父の傍ら、老紳士は穏やかな顔で少年を見つめていた。 「お体に障ります」 「平気です」 「錦様」 「問題の無い行動だ。直に触れてはいない」 「そう言う問題ではありません。――君、錦様から離れて」 付人は溜息を吐く。少年よりこちらに言った方が早いと判断したようだ。 ただ、少年に対するものとは違い非難が込められている。 いつもの癖で思わず謝った。 謝ると男は一層侮蔑を露わにする。

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