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第4話
「君、そんな汚れた出で立ちで錦様の前に立たないでくれ給え」
彼から見て、汚らしい野良犬に見えても仕方がない。
目の前の子供は確かに秋庭家の人間ではある。しかし、余りの愚鈍さに父達と同等の扱いをする必要はないと判断したようだ。
――家族たちからの罵言を耳にすればそれは致し方ない。
縁談と言っていたから当然事前に家の事を調べていて、優秀な兄弟の中で一人だけ落ちこぼれがいると知っていても何ら不思議ではない。
今後親族になるだろう秋庭家の中にある、余計な部品に過ぎないのだ。
この場をいかにして立ち去ろうかと思案していると、少年は厳しい表情を作り男を見据えた。
「発言を慎め」
「え? は?」
静かな声と共にそっと手を放す。
解けかけたハンカチを落とさないように手を包むと、彼の温もりが残っていた。
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