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第1話

彼の言葉は、確かに魔法だった。 あの言葉に救われた。 お前は悪くないと、そう言われたのだ。 褒められた事も無ければ、認められた事も無い。 常に否定ばかりされていた自分が、誰かに尊重されたのは初めてだった。 自分を肯定したのも心配してくれたのも彼しかしない。 だから、自分にとって錦は特別になった。 ――貴方は悪くない。 温かく潤う胸の内で何度も思い出し、感慨に沈む。 あれから何度か彼と会う機会に恵まれた。 瞳は濁る事は無く相変わらず澄み切っていた。

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